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怖い体験談

毎晩うずくまって泣いている女性

2019/09/17

高校生まで住んでいたマンションでの出来事なのですが、人生で初めてこの世に存在しない人の顔をハッキリと見ました。

マンションの隣には駐車場に繋がっている暗い細道があり、人が1人座れるくらいの謎の小さな椅子が置いてあります。

その場所ではほぼ毎日23時から24時くらいになると、うずくまって泣いている女性を見かけた人が何人もいて、どうせ10階に住むアルコール中毒のお母さんだからと、誰も声をかけずにいたんです。

その女性の正体がわかったのは、私が16歳の時でした。

 

ここのマンションに10歳の時に引っ越してきて、それから毎日一緒にいた友達が私の家に泊まりに来ていました。

友達は10階に住んでいて、毎晩うずくまって泣いてるアルコール中毒だと噂されているお母さんの娘なんです。

もちろん彼女は自分のお母さんが噂されていることを知りません。

金曜日のお泊りで、明日は休みだからと夜中まで学校の噂話で盛り上がっていました。

23時頃、私の父が仕事から帰ってきたのですが、私の友達が泊まりに来ていることを知らなかったので、玄関から「また10階の○○さんが酔って泣いてるぞ~!」と叫びながら帰ってきたんです。

最悪だ……と思いながら友達の顔を見ると、唖然としていました。

「パパ!○○ちゃん泊まりに来てるんだけど!」

そう父に叫んだ瞬間、友達が「お母さんこの時間にはもう寝てるはずだけど……。いや、それ絶対私のお母さんじゃないよ」と言ったのです。

本当に申し訳ない気持ちになりました。

友達からはお母さんがアルコール中毒だと前から聞いていたのですが、だからといって勝手に決めつけて噂をするなんて酷いですよね。

父と母と3人で友達に謝ると、友達はとくに気にしていないみたいで、それよりも女の人の正体が気になっていました。

父と母が女性を見た時、服装も髪型も友達のお母さんにそっくりで、話しかけても顔を上げずに泣き続けるだけで、どうしようもできなかったと聞きました。

 

気になって仕方がなかった私たちは、父と母が寝たのを確認して、深夜の1時に見に行ってみることにしました。

「もう帰ってるかも……、急に怒ってきたらどうする? だって酔ってるんでしょ?」

まさかこの後あんなことが起きるなんて想像もしていなかったので、淡々と細道まで歩いていきました。

細道が近づいてくると、まだ女性がうずくまっていて、2人して「お母さんにそっくりだ……」と思いました。

でも遠くから見ても異様です。

異常なくらい猫背で、少し離れている場所からじゃ泣き声は聞こえませんが、その人は同じ姿勢のまま全く動かないんです。

少し怖かったですが、恐怖心よりも友達のお母さんにそっくりだったこと、その人のことが素直に心配になってきたので、近づいて声をかけることにしました。

近づくにつれて、信じられないくらいパサパサでボサボサの長い髪、ほっそいふくらはぎが見えて、すぐに友達のお母さんではないことがわかりました。

すすり泣いてる女性に、友達と「大丈夫ですか……?」と声をかけても、びくともしません。

「上着持ってきましょうか? 話聞きましょうか? 誰か呼んできた方がいいですか?」

心配した友達が次々と声をかけると、その人は固い猫背を久しぶりに起こすようなスローな動きで顔を上げ、私たちはその瞬間マンション中に響くくらい叫んで全力で逃げました。

 

女性の顔は、溶けていたんです。

火傷とかではなく、ロウソクのろうが一番しっくりくる表現だと思います。

濡れていて、グロテスクで、あの女性の目はすぐにこの世にいてはいけない人だとわかりました。

 

つい追いかけられると思って全力疾走でしたが、振り返ると女性は消えていました。

その出来事は両親にも怖くて言えず、数日後、小学生の時に仲が良かった前の管理人さんに会って全て話してみました。

すると、マンションの目の前に小さな川があるのですが、昔そこで女性の遺体が見つかった事件があったらしいのです。

女性の遺体は時間が経ってから見つかったらしく、未だにその女性の霊が出没すると噂になっていたみたいです。

それにしてもなんであんなに友達のお母さんにそっくりだったのでしょうか……

 

 

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