心霊物件の恐怖「オッカイがいるよ……」
2019/09/01
これは、私が友人の新居探しに同行した時に体験した怖い話です。
友人とは古い付き合いで、小さい頃からよく家を行き来しており、姉妹のような存在でした。
家探しであれば、本来はそこに住む家族だけで行うものだと思うのですが、友人はよく来る私にも意見を言ってほしい、との事でした。
私は、友人がそういうなら、と了承しました。
物件探しには、友人夫婦と3歳の息子、私の4人で行きました。
その日に見に行ったのは、友人が当時住んでいたアパートから車で20分程度のところにあり、2階一戸建て、スーパーやホームセンターも徒歩10分程度のところにありました。
築年数も10年経っておらず、2台分の駐車場付きと好物件なのに値段はそこまで高くなく、見に行って変な所がなければこの物件に決めるとまで友人は言っていました。
値段も違和感を感じる程安いわけでなく、平均的な感じでした。
実際、見学に行ってみると、綺麗な建物で、内装もとでも綺麗でした。もう少し高く売っても売れるんじゃないかと思うくらいでした。
友人夫婦もとても気に入ったようで興奮しながら家のなかを見て回りました。
息子くんも「ここが新しいお家?」と何度も聞いてはしゃいでいました。
ただ、異変が起きたのは2階の部屋を見に行った時です。
2階は3部屋とトイレがありました。
3部屋のうち、1部屋にだけウォークインクローゼットがありました。結構大きなクローゼットで、友人夫婦は大喜びでした。
しかしそのとき、息子くんだけ、様子がおかしくなりました。
「こんにちは」と、クローゼットの上の方を見て言い出しました。その後も首をかしげながら3回ほど挨拶しました。
「どうしたの?」と友人夫が聞くと、「そこにオッカイがいるんだよ」「こんにちはって言ってくれないんだよ」と、息子くんが言いました。
オッカイとは、息子くんにとっておっかないもの、怖いもの、オバケのことを指すそうです。
しかし、友人夫婦にも私にも見えません。
「どんなオッカイがいるの?」と友人が聞くと「赤いオッカイ」と答えました。
友人が細かく聞いていくと、赤い服を着た女の人で、クローゼットの上の方からこちらを怖い顔で見下ろしているそうです。
「大丈夫、そんなのいないよ」と、友人夫が言うも、「オッカイ!オッカイ!」と息子くんは怖がり、泣きながら外へ出て行ってしまいました。
友人夫が息子くんを追いかけていきました。
外で息子くんが大泣きしている声が聞こえます。
友人と私で呆然としていると、同行していた不動産の人が重い口を開きました。
この家に以前入っていた家族がいて、住んでいた時にこの部屋を使っていた娘がこのクローゼットで首つり自殺をしたのだそうです。
その娘が自殺した時に着ていた服がお気に入りの赤いコートだったとの事でした。
元々は違う不動産屋がもっていたが、売れずに転々とし、今の不動産屋に行き着いたとのことです。
あまりにも格安物件にすると、怪しまれるため、相場に見合った値段を付けたとのことです。
怪現象が起こるのかどうかはわかりませんが、もし、息子くんがこのようにならず、気付かずに購入していたらと思うとゾッとしました。
友人夫婦はこの物件を諦め、別の物件を探し、今はそちらに住んでいます。