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怖い体験談

見えてるのは私だけ?若い頃、霊に憑りつかれた話

2018/12/15

私は今50代の女性です。

かなり昔の話ですが、まだ20代の前半だった頃、とても不思議な体験をしたことがあります。

その頃、私は小さな会社で事務員として働いていましたが、毎日同じようなルーティン作業の繰り返しで、あまりやりがいも感じていませんでした。

また、恋愛の方もなかなか上手くいかず、全てにおいてどこか鬱蒼とした、張り合いのない毎日を送っていました。

 

そんなある夏のことです。

友達と食事にでも行こうと約束をして、とあるホテルのロビーで待ち合わせをしていました。

私が到着した時には、まだ誰も来ておらず、私は待ちながらロビーの柱に貼ってあるポスターに目をやりました。

「ビアガーデンかあ、もうそんな季節だなあ」なんて思いながら、そのポスターを眺めていると、向こうからタクシーの運転手らしき男の人がこちらに向かって、勢いよく歩いて来るのが視界に入りました。

そしてその男の人は、私の隣に来てポスターを眺め、「ふん、ビアガーデン、ふむふむ」というような独り言を言い、それからくるりと私の方を見て「あー」と言って私を指さし、それからいきなり「ハハハハハ」とまるで気が狂ったような声で笑い始めました。

私はびっくりして、いったい何が起こったのかもわからず、その場に立ち尽くしていました。

そして、その男の人は、私を指さしたまま、「ハハハハハ」と笑い続けながら、次第にその場から遠ざかっていき、ホテルの玄関から出て行きました。

 

あまりの突然のことに私は何も出来ず、しばらく震えていましたが、ふと、妙なことに気づきました。

それは、その時、そのホテルのロビーにはかなりたくさんの人がいたのですが、誰一人、この男の人を気に留めていませんでした。

その人が、ホテルのロビー中に響き渡るような大きな笑い声をたてていたにもかかわらず、誰もこちらを見ている人はいなかったのです。

それから友達と合流しましたが、あまりにも不思議な体験だったので、おかしくなったのではないかと思われそうで、この出来事は、誰にも言いませんでした。

 

それからしばらくして、街に買い物に行った時のことです。

人混みの中を、向こうから自転車に乗った男の人がやって来るのが見えました。

かなり遠くからでも、口元がニヤリとしているのがなぜか私にはわかりました。

そして、その人がホテルのロビーにいたタクシー運転手と同じ人だということも、不思議ですがわかりました。

 

その人は、ニタニタと不気味な笑顔を浮かべ、そして私のそばを通り過ぎる時に、また「ハハハハハハ」と、前回と同じ大きな笑い声をあげて通り過ぎて行きました。

そしてこの時も、街を歩いていた人たちは、誰もこの男の人に気づいた様子はありませんでした。

「私にだけ見えるんだ」、私はその時はもう怖いという気持ちはなく、なぜかこの不思議な出来事を受け入れていました。

それから、この男の人とはもう2回ほど会いましたがその時も、状況は同じでした。

 

そしてその後、私は仕事をやめ環境が変わり、いつの間にか、この出来事もすっかり忘れていました。

最近になって、霊感があり、そういう類のことに詳しいという人に出会い、この出来事をふと思い出して話してみました。

すると、「多分若い頃、不安、恐れ、迷いなどに心が揺れていて、その隙間に霊が入り込んで憑りついていたのでしょう」と言われました。

この答えが本当かどうかはわかりませんが、とても不思議な体験で、今は何となくまたあの人に会ってみたいなあ、なんて思っています。

 

 

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