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不思議な体験談

神奈川県の有名な幽霊スポット!団地の廃墟で見た人たちは……

これは僕が大学生の頃に体験した不思議な話です。

当時、僕が住んでいる神奈川県にはそれはそれは有名な幽霊スポットがありました。

理由は僕もよく知りませんが、小高い丘の上に団地の廃墟があるんです。

鉄筋コンクリートで作られたその団地は長い間、放置しつづけられ、本当に荒れ放題の状況になっていました。

昼間に行っても何か薄気味悪い感じがします。だから夜にその団地の廃墟に行くと本当に不気味な空気が漂っているんです。

 

ある時の事。

僕は中学の時の同級生を夜遅くまで遊んでいました。

その時、誰ともなくあの団地の廃墟に肝試しに行こうという事になったのです。

僕はちょっと嫌だなと思いましたが他の友達は完全に乗り気でいます。

どうもその空気に押されて僕も団地の廃墟に肝試しに行く羽目になってしまいました。

大学生というものは、肝試しと言うと怖いもの見たさというより、何か仲間内でわいわい騒ぎたいという気持ちの方が強いのかもしれません。

言い換えると肝試しと称してお祭り騒ぎを楽しむという事だと思います。

けれども今になってみればこの時、こんな上っついた気持ちで団地の廃墟に行くのは本当にやめておけば良かったと後悔しています。

 

団地の廃墟には車で向かいます。

割と僕たちの家からは近く、車で行けば30分くらいの距離。

そんなに郊外にある訳ではないのに、住宅街を抜けていよいよ団地の廃墟がある小高い丘のあたりにさしかかるとその辺の雰囲気はさっきまでと一変してきます。

街灯のないどうろはとにかく不気味の一言。何か、道路脇の茂みに目を向けるとそこには誰かがいてこっちをじっと見ているような気さえしてきました。

 

団地の廃墟は近くに空き地があり、そこに車が停められるんです。

時間は午前1時を回っていました。

その日は休日だったんですが、僕たち以外に肝試しに来ている人はいません。まわりはやけに静まり返っています。

街灯すらないので僕たちは手に懐中電灯を持って団地の廃墟まで向かいました。

途中、道のない道を草をかき分けて進んでいきます。

どうもこの時から僕は心の底から嫌な予感がしていたんですよね。

なんどももう引き返そうという言葉が喉元まで出かかっていました。

それでも、そんな言葉を言えば僕は友達の間で一生、弱虫というレッテルを貼られてしまいます。だから僕は心の底から沸き起こってくる恐怖心に必死で打ち勝とうと頑張っていたんです。

 

いよいよ団地の廃墟の下に着きました。

上を見上げると暗闇の中に一層黒々としたコンクリートの塊がそびえ立っています。

もう団地はコンクリートの塊以外、荒れ果ててしまって何も残っていません。

しばらく僕たちは団地のまわりをうろうろとしていたんです。

すると何やら誰かの声が上の方から聞こえる事に気がつきました。

その言葉を聞き取ろうとするのですが、風の音やらで何を言っているのか聞き取れません。

その時、肝試しの先客がいるのかな? と僕たちは思っていたんです。

団地の上を見上げると、3階か4階あたりの所になにやら人影が見えます。

どうもその人影は僕たちを観察しているようにも見えます。そしてそれはどうやら一人や二人ではないんですよね。

 

ちょっと怖い気持ちもありましたけれど、なんか、怖い事あったか聞きたい気持ちもあって僕たちは彼らがいる団地の上階に向かって階段を登り始めたんです。

2階についても誰もいません。

そして3階、4階に行ってもそこには誰もいないのです。

団地の上階には僕たちが登ってきた階段を上がってくるしか道はないはずなのに……

この時、僕たちは顔を見合わせるばかりで何も言葉が出ませんでした。

するとその時、今度は僕たちが登ってきた階段の下から声がしました。

ふと階段の下を見るとそこには数人の人がいてこっちを笑いながら見てるんです。

もう僕たちはこの時恐怖のどん底です。

本当は逃げたかったのですが、逃げるためには階段を降りる必要があります。

けれどその階段の下には不気味な笑みを浮かべてる人たちがたくさんいるではありませんか。

なんだか、この階段を降りていったらヤバい事になると僕は直感的に思ったんです。

結局、僕たちはその場にとどまり、朝が車で数人でかたまりながら震えていました。

そして朝が来るやいなや、階段を駆け下り、一目散に車に乗り団地の廃墟を退散したんです。

本当、あの時見た人たちは何者だったんでしょう。

それからというもの、僕は肝試しなんか一度もしてません。

 

 

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