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青木ヶ原樹海近くの民宿に出た黒い影?

2019/09/02

数年前、山梨県の自殺の名所「青木ヶ原樹海」の近くにある民宿で体験した不思議な話です。

 

当時私は大学生で運動系の部活動に所属しており合宿でその民宿を訪れました。

民宿の割には部屋も風呂も広くその上自分たち以外の宿泊者がいなかったので運がいいなくらいにしか思ってなく、近くにある青木ヶ原樹海のことは特に気も留めておりませんでした。

 

不思議なことが起こり始めたのは合宿初日の深夜からです。

練習の疲れで早々に眠ってしまった私はうっすらと部屋が明るいことと聞こえる音に目を覚ましました。

体を起して辺りを見回すとなぜかテレビが点いています。

大部屋で他に部員もいましたし誰かが消し忘れたのだろう、と軽く考えてテレビを消しその日は布団に戻りました。

しかしそれから毎晩就寝中に気づくとテレビが点いているのです。

しかも消してもまたしばらくすると突然電源が点き、その都度起きなければならないので私を含め他の部員も寝不足でした。

 

このままだと練習に支障が出る。

そう思った私たちはもしかしたら上級生のいる隣室のテレビと電波が交錯しているのではと思い上級生に相談しにいきました。

しかし上級生はテレビを合宿に来てからまだ一度も点けてなくどう考えても電波が交錯するはずがなかったのです。

私たちはテレビの調子が悪いのかもしれないと仕方なくテレビの電源をコンセントから抜くことにしました。

テレビの電源を完全に切ったその日はテレビが点くことはなく久々の静寂に私たちはぐっすりと眠ることができました。

 

次の日のことです。

その日もテレビのコンセントを抜き部屋にいる全員が布団に入った頃でした。

コンコンと部屋のドアをノックする音。

時間まだ遅いとは言えず、もしかしたら隣室の上級生が何か用事でもあるのかもと私は布団から這い出し、ドアへ向かいました。

「どちら様ですか?」と尋ねてみるもののドアの向こうから返事は返ってきません。その代わりコンコン、コンコンとノックをする音は相変わらず響いてきます。

「鍵、開いてますよ」と言いつつ私はドアノブに手を掛けました。

ドアノブに手を掛けるとコンコンというノックの振動がドアノブを通じて手に伝わります。

確かにこのドアの向こうに誰かいる。

一体誰なんだろうと私はドアを開きました。

するとドアの向こうには誰もいません。左右に広がる廊下を見回しましたが何の姿もなく何かが動きまわる音も聞こえませんでした。

しかし私の手には確かに直前まで部屋のドアを叩いていたあの振動の感触が残っています。

私は生まれて初めて背筋がゾクッとするという感覚を味わいました。

「誰だったの?」と私と同じようにノックの音で起きた部員に尋ねられましたが答えようがなく「わからない」と声を振り絞るだけで精一杯でした。

 

その夜は初めての体験にあまり眠ることができませんでした。

もしかしたらテレビが勝手に点いたのも何か奇妙な原因があったんじゃないか。

そもそもこの民宿自体に何かあるんじゃないか。

色んなこと考えているうちに朝になっていました。

でもテレビが点くのもあのノックももしかしたら自分の勘違いかもしれないと自分に言い聞かせました。

すると部員の一人が「わあ!」と驚いたような声を上げました。

何事かと目を向けるとその部員の寝ていた布団のシーツに無数の長い髪がべっとりと付いていました。

長い髪は他の部員のシーツにもありもちろん私が寝ていたシーツにも付いていました。

この瞬間、これはただごとではないと私たちは確信したのです。それからは特に変わったこともなく合宿を終え私たちは帰路に就きました。

 

数ヵ月後、友人との飲み会の席でその話をした時のことです。

友人はどうやら霊感が強いらしく今回同様青木ヶ原樹海の近くに宿泊した時に似たような現象に遭ったことを語ってくれました。

友人も部屋のドアをノックに気づきやはり開けたようです。

しかし私と違っていたのはそこに誰もいなかったのではなく、そこには全身真っ黒の「影」が立っていたとのことでした。

友人が言うにはその「影」は樹海から出てきたものとのことです。

もしかしたら私の前にもその「影」はいたのでしょうか。

あれ以降青木ヶ原樹海を含めその周辺には近付かないようにしています。

 

 

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