福岡の廃病院で行った「スクエア」と呼ばれる降霊術
2019/09/15
これは10年ほど前、私が大学3期生の夏休みに経験した話です。
怪談好きの友人たち4人と福岡県に旅行に行った際、せっかくなのでホラースポットだと噂される廃病院にいってみようという話になりました。
そこでは「スクエア」と呼ばれる降霊術を行うと必ず幽霊が出るとそうです。
有名な降霊術なので聞いたことがある方は多いと思いますが、スクエアは部屋の四隅に一人ずつ立ち、一人目が壁に手を当てながら二人目のところまで移動し二人目の肩を叩く。
二人目は同じように移動し、以降も同様の手順を繰り返します。
すると四人目の移動先(一人目がもともと立っていた場所)には誰もいないはずなのに誰かの肩を叩くことができ、以降ずっとこの作業をループすることができるというものです。
本来なら五人いなければ一周できず、知らぬ間に足りない一人を呼び寄せてしまうという降霊術です。
私たちは怪談奇談都市伝説の類は好きなのですがオカルト現象自体は信じておらず話のタネにと軽い気持ちでその病院へ向かいました。
目的地に着いたとき「こんなものか」と若干落胆したのを覚えています。
確かに廃病院というのは薄気味悪いものですが、今通っている大学の夜のキャンパスも似たようなものだなと感じました。
怖いというより後で不法侵入で訴えられないかな、などと考えている間に早速探索が始まりました。
エントランスの鍵は壊されており中にはすんなり入ることができました。
あまり荒れておらず意外と奇麗だなと話しながらスクエアをできる場所を探し、だだっ広い診察室で例のスクエアを行うことにしました。
先ほどまでと打って変わってみんなの緊張感が伝わってきます。
私の立ち位置は二人目。
一人目と四人目の立ち位置でなくてよかったと安堵しつつスクエアを開始しました。
わずか数メートルの距離も長く感じ、自分の役目をおえたあと、手のひらにものすごい量の冷や汗をかいていることに気づきました。
降霊術はつつがなく続き四人目が移動する番になりました。
ですがもちろんスクエアは続かず、何の異変も起きることなく降霊術は終了になりました。
みな緊張感が溶け恐怖感を打ち消すように「幽霊なんかでるわけないよね」と騒ぎながら車に乗り込み帰ることにしました。
異変に気づいたのは走り始めて少ししてからです。
すれ違う対向車がすべてパッシング(ヘッドライトを一瞬だけつける)をしてくるのです。
この先で検問でもしてるのかな、などと考えていましたがあまりにもすべての車がパッシングしてくるので、運転していた友人は腹をたててある対向車を追いかけ路肩に停めさせました。
警察沙汰にはしてくれるなよと思いつつ、同乗していた私たちも理由が知りたかったので一緒に話を聞きに行きました。
すると「真っ黒い人影のようなものが車の屋根部分にしがみついていた」というのです。
その後全員で車を見回しましたが、特に異常は見られませんでした。
降霊術は成功していて、もしあの時屋根を確認していかったらもう一人の誰かを連れて帰ってしまうところだったのでしょうか。