廃病院からみんなで猛ダッシュ 地下1階で聞いたあの物音は結局なんだったのか
19年前の事です。
当時17歳だった私の周りでは心霊スポットが流行っていました。
「どこどこ行ったよー」と言ううわさ話ばかりを耳にしていたのですがまだ心霊スポットと呼ばれる場所に入った事はありませんでした。
ある日友人に誘われはじめて心霊スポットに行く事になりました。
廃病院になんども心霊スポットに言った事がある友人がリーダーとなり5名で行く事になりました。
お昼間だったので安心していたのですが、着いてみると、取り壊し予定で立ち入り禁止の廃病院だったのです。
なので正門から入る事ができずに裏側のフェンスをよじ登り入る事になるのですが、心霊以前に見つかったらどうしようと言うドキドキ感で不安いっぱいでした。
その不安が大きかった事とお昼間だった事で、廃病院自体の裏の入り口からばれないように見つからないようにそーっと建物の中に入った時はそんなに怖くはありませんでした。
まずは1階を探索するのですが高校生らしく冗談を言い合ったり後ろからおどかしてみたり物音をさせてみたりと和やかなムードで和気あいあいと楽しく回っていました。
そして2階に行っても同じような感じでした。
唯一2階が怖かったのがある部屋から見える景色の隅に工事の方なのか警備室みたいなのか当時の私には判断できませんでしたが人影があり、そこから見られたら侵入している事がばれてしまうことくらいでした。
一通り見回った後こんなものかと楽しく帰ろうとしていた時でした。
誰かが地下があるから行ってみないと言い出したのです。
勢いづいていた私たちは行ってみようと気軽な気持ちで地下への階段を降りたのです。
お昼間とはいえ地下は暗いのでなんとなく冗談の空気が変わり始めます。
一人の友人が冗談で物音を鳴らしたのですが、先ほどのムードとは違い、「本当にやめろよ!」と不安な空気が流れています。
なんで地下があるんやろうかと言う話が出た時に「確か霊安室があるんやなかったっけ・・・」と友人の一人が語り始めました。
「ここそうじゃない?入ってみる?」と別の友人が言うと全員の緊張感がMAXまであがりました。
入ろうかどうしようか誰から入るのかじゃんけんで決めるのかどうしようかと悩んでいたその時、「物音がした」と誰かが口を開きその場から走って逃げ出した瞬間全員がパニックを起こしたのです。
本当に?
誰かの冗談なの?
警備の人じゃない?
いやあの人は工事の人だよ?
それはそれでやばくない?
どうする逃げる?
方向どっちだっけ?
えっ?
えっ?
と訳がわからないまま逃げ始めます。
そうすると音も立ちますし、一番最後になりたくはないし、もし工事の人で捕まったらどうしようとか本当におばけとか霊とかだったらどうしようと思いました。
最後の人に取り憑くとか聞くので、みんな必死で逃げます。
階段を登り入ってきた裏口から出ても勢いは止まりません。
そーっとばれないようになんて考える余裕もありません。
みんな猛ダッシュで我先にとフェンスまで走ります。
フェンスから外へは一人ずつしか出られません。
もし音に気づいた警備や工事の人が来たら逃げ遅れる人が出てきます。
急げ急げと一人また一人フェンスから外へ逃げ出します。
ようやく最後の一人がフェンスから外へ出た時緊張感が一気に解けました。
「いや〜怖かったね! あの時の物音誰の冗談よ!」と口々に聞くのですが、誰も物音を立てていなかったのです。
そもそも物音が聞こえた方向に誰もいなかったのです。
確かに聞こえたあの物音はいったい誰が立てたのでしょうか。
今もわからないままです。