深夜の国道139号の青木ヶ原樹海をバイクで帰省中に見てしまったもの
2019/10/07
大学生の時、入学後2輪免許を取り、250ccバイクで東京から実家の静岡まで、普段から何度も帰省しており、大学2年の夏休みも、バイクで帰省しました。
その時は、いつも東名ばかりじゃなく、たまには違ったルートで帰省しようと考え、中央高速経由で山梨県を通り、富士山の西側にある国道139号を使って静岡県に入るルートで帰りました。
ただその日は何故か、アルバイト先のピザ屋の店長から、今夜、シフトで入っていた仲間が、急に体調悪いから休むと連絡があって、全然、人が足りないから、誰か入って欲しくて、あなたが入ってくれないか? と頼まれました。
全く気は乗りませんでしたが、困っているんじゃ助けなきゃいけないと思い、急遽、アルバイト先のピザ屋で、毎度の注文からトッピングからオーブン焼き、最後は宅配まで、ほぼ店長と2人でこなしました。
そして、仕事が終わってから、疲れていたけど、休むと帰るのが嫌にやるので、そのまま帰省することにしました。
その時、下宿先があった東京の三鷹を出発したのが、深夜零時でした。
そして、バイクで中央高速に入って、山梨県まで入る頃には深夜1時になっていました。途中、サービスエリアで少し休み、さらに、中央高速を降りてから、あの国道139号で静岡方面に向かって南下しました。
その途中で、私は一生忘れることが出来ない見てはいけないものを見てしまいました。
国道139号は、山梨県側で途中、自殺の名所で有名な青木ヶ原樹海を通ります。
この樹海の中を走る国道なのですが、当時、深夜1時頃に走ると、ほとんど街灯がありませんでした。
真っ暗な道の中、バイクのライトだけが頼りで、ただただひたすら真っ直ぐ、前だけを見て、周りが怖かったけど気にしないようにして、鼻歌を歌いながらバイクで風を感じて走っていました。
その時、だんだんと寒気がし始め、耳鳴りがしてきました。そのうち明らかに、キーンと言う音が聞こえ始めました。
私のバイクで走る国道は、私の前後には誰もなく、対向車も来ませんでした。
兎に角、嫌な予感がしたので、早く青木ヶ原樹海を抜けて明るい道路に出たいとスロットルを上げて、がむしゃらに走り続けました。
辺りは真っ暗で、木々の中では、何となく、誰かが首吊りしようとしているのか、人の気配を感じていました。
するとしばらくして背中に重みを感じたので、恐る恐るバックミラーを見ると、白い顔をした長い髪の女性が私の背中に乗っていました。
もう何が何だか訳が分からず、本当は凄く怖くて叫びたかったけど、真っ暗で誰もいないので、そのまま気がつかないフリをして走り続けました。
しばらくして、青木ヶ原樹海を抜けて明るい道に出ると、先ほどまでのことがなかったかの様に背中も軽くなって、私は静岡県に入り、何とか無事に帰省出来ました。
翌日の新聞で青木ヶ原樹海で自殺が多発しているニュースがありました。
やっぱりあれは本物だったのかもしれません。
あれから、私は二度と国道139号で帰省することはなくなりました。
もう見たくないですからね。
あれは気のせいだったと思っていますし、そう思わないと生きていない体験でした。
もう深夜のあそこは走りません。