滑り台から見下ろす女の子
2019/09/04
これは私が高校生の時の話です。
今から15年ほど前になります。
私を含め6人の男女の仲良しグループでとある公園で遊んでいました。
その日は地元のお祭りがあり、そこからは外れた静かな広い公園です。
時間はだいたい11時ぐらいでしょうか。
公園はとてもシンプルで、トイレ・屋根のある休憩所・大きな滑り台・鉄棒・砂場といったくらいしかない所です。
私と女友達のA子と公園の真ん中にある大きな滑り台に行く事になりました。
外灯は公園の周囲にはありましたが、滑り台のある真ん中には無くとても暗く見えるのは公園の周囲だけといった状態でした。
正直、少し怖さもありましたがA子の前だという事もあり、気丈に振舞っていました。
ワイワイ話ながら、滑り台の階段を登り頂上までやっと辿り着きました。
上からの眺めは結構良く、他の友人なども良く見えました。
上から下を見渡していた時に、トイレの脇からずっとこちらを見ている黒髪ロングの女の子がいました。
「あ、あれ誰かな?」年齢は中学生ぐらいでしょうか、白いワンピース姿でした。
こんな時間にとは思いましたが、祭りもやっていたという事もあり、中学生ならこの時間ならいるだろうと思い、さほど不思議には思いませんでした。
「滑って戻ろっか」と言い、私が先に行きすぐA子が滑るという順番で、暗くて怖いという事もありほとんど同じタイミングで滑り始めました。
少し滑ったくらいで、ふとトイレの方に目をやりました。
するとあの女の子はいませんでした。
「もう帰ったんだなと」何気なく後ろを振り返ると、A子の先の滑り台の頂上に女の子の姿が見えました。
私は「えっ」と思いましたが、A子には何も言わずにそのまま滑る事にしました。
また少し滑ってふと後ろを振り返ると、A子のすぐ後ろに女の子がこっちを見て「遊ぼ」と明らかに訴えていました。
私もさすがにこの時は「うわ」と言ってしまい、A子に「いいから絶対後ろは向くな、絶対に」と伝え「え、わかった、、、」と何かを察したかのような声で答えました。
私は後ろを向いたまま、で残りを滑りました。
そして滑り台の下に到着した瞬間、「走るぞ」と伝え二人でダッシュしてみんなのもとに帰りました。
無我夢中で二人で走りましたが、女の子は追ってくる事はありませんでした。
とりあえず、友人達に帰ろうと伝え明るく人通りの多い所まで来て全てを伝えました。
すると、友人の一人が「噂で聞いたことがある。あそこで女の子が滑り台から落ちて亡くなってると」それを聞いた瞬間に間違いないと思いました。
それはあの女の子なんだと。
一緒に遊びたかったのかなと今では思えますが、その時の私には全く余裕は無く、ただただ恐怖体験でした。
それ以降は、その公園には立ち入っていませんし近寄る事もありません。
しかし、滑りながら見た女の子の顔は一生忘れる事はないと思います。
これが私が体験した、忘れもしない体験になります。