夏の海辺で心霊現象
2019/01/08
毎年夏になると、我が家では隣の家でばあちゃんと暮らす従姉妹と、私と、私の姉の3人で夜中にホラーアニメやホラー映画を観るのが習慣になっていました。
ある夏、従姉妹が彼氏にフラれてしまい落ち込んでいる従姉妹を慰めようと、ホラー漫画を観た後にこそっと家を抜け出し、近くの海に行く事になりました。
夜中に海なんてよせばいいのに、ラジオ付きの大きな懐中電灯を持って三人ともノリノリで肝試しだー何か出ないかなと言いながら楽しくおしゃべりしていました。
岩場の側まで歩いていると、なんとなくチカチカとライトが点滅しました。
そういえばおしゃべりに夢中で気付かなかったのですが、ラジオから声が聞こえなくなっていました。
え?
ラジオ消した?
と姉が言いました。
消してない、消してないし、付かないんよ!
慌ててオンオフを切り替えてみましたが、カチカチとスイッチの音が聞こえるだけでラジオから音が出なくなってしまっていました。
おかしいなぁと首をかしげながら歩いていましたが、改めて辺りを見ると、波の音と虫の声だけしか聞こえず、だんだん怖くなってきました。
怖くても帰るのも怖く、しばらく無言で歩いていました。
もうすぐ海につく、というところでライトがパッと消えて、また灯りがついたのです。
あ、やばい。
これはやばいと、三人とも直感でかなり焦った時です。
ドンドンドンドン!
と何かを叩く音が聞こえました
何っ今の音!
立ったまま三人とも動けず、固まってしまいました。
海の駐車場の側に不自然に置いてある、小さな倉庫の方から聞こえたような気がしました。
倉庫から聞こえなかった?
心臓がばくばくしながら
そーっと、倉庫の前に行ってみました。
誰か閉じ込められていたらどうしようかと、焦ったのだと思います。
海辺ですし、事件かも、と。。
誰か、、居ますか、、?
大丈夫ですか、、?
と声をかけた瞬間!
ドンドンドンドンドンドンドンドン!!
急に中から何かを叩く音が!
うわー!!
いやー!!
3人揃って走って逃げて帰りました。
真っ暗な中、急いで泣きそうになりながら走って家に帰ると姉達が私に言いました。
あんたすごいスピードで走ってったね、追いつかなくて、どうしようかと思った、と、ハアハア息を切らせていました。
私だって必死だった。
まさか足音がついてくると思わなかったやろ!
追いつかれんかった?!
振り向かんかった?!
怖かったけど、振り向いてはいけないと思って全速力で逃げたんです。
え?
足音?
なんのこと?
と驚いた顔をしていました。
二人には聞こえなかったみたいです。
子供の音の鳴る足音が、私達の後ろから追いかけきていたのを。
次の日、明るいうちにもう一度確かめに倉庫に行ってみました。
誰かいませんかと叩いてみたり、すみません!と声をかけましたが、何も変化なく少し安心したのを覚えています。
数年後、倉庫は取り壊され、更地になりました。
のちに他県で行方不明になった方が柵のないその更地から身投げし、亡くなった事は小さな地元でかなりの騒ぎになりました。
あのあたりの民家が火事になり、先輩の家が丸焼けになりました。
どうもあのあたりの海辺のそばの山の頂上は、戦時中に死体焼き場として使われていた場所だったそうです。