天狗の森
2019/01/07
これは私と私の友人とで天狗の森に行った時の話です。
夜片町で友人と飲みに行ったとき酒が回ってきたのかその場の勢いで友人と二人で肝試しをすることになり、当時石川県でそこそこ有名な幽霊スポットである天狗の森に行くとこになりました。
友人は霊感がとても強い母親がいて、わりとその界隈では有名らしく友人もその血を多少受け継いでいるのか霊的なものには敏感だと聞き、これは面白い事になりそうだと思い肝試しをする切っ掛けになりました。
お互いそこまで行く足がなかったのでタクシーで向かうことに、運転手に行き先を伝えると「天狗の森?こんな時間に?やめた方がいいと思うよ」と釘を刺されましたが、むしろそんなにヤバイ所なのかと謎の好奇心が沸き立ち、酔っていた事もあってか計画を慣行。
タクシーの中であれやこれや天狗の森の噂を話しながら気分は最高潮に、今覚えばあの時運転手に従っておけばよかったと後悔しています
そしてなんやかんや話しているうちに天狗の森に到着、運転手に鳥居の前に下ろしてもらっていよいよ中に入ります。
急遽肝試しを計画した事もあり懐中電灯を持っていなかったので急場しのぎで携帯のライトを使用し散策します。
夜は1時半を回っていました。
中に入るとその携帯の貧相なライトも相まって見通しが悪く、ただならぬ雰囲気があります。
私も友人もこれはヤバイと直感します。
天狗の森は木々が広がっており名前どおりの森となっています。その森の道を奥に進んでいくと小さな古ぼけた拝殿があってここが終着点だという事が分かりました。
私はその拝殿のあたりを写真に収めようと思い「これで何か写っているだろう」と半ば遊び半分でパシャパシャと景気よくスマホのシャッターを押します。
その時友人の携帯が鳴りだしました。こんな時間にしかもこのタイミングで電話なので二人はお互いに仰天し友人は恐る恐るスマホを見てみると…
電話の主は友人の母からでした。
私と友人はほっとした様子でしたが状況が一変します。
「〇〇今どこにいるの!?」
スピーカーにしてなくても聞こえる程甲高い声で、その口調は明らかに慌てていた様子でした。
「天狗の森だけど?」
と友人が返します。
「今すぐ戻ってこい!そこから離れろ!!早く!」
と友人の母はとても強い口調で怒鳴ります。
もともと霊感が強い母があこまで慌てているなんてただ事ではないと私と友人は森の中を鳥居まで走り途中こけそうになりながらも何とか出口までたどり着きました。
そして鳥居の近くで待機させていたタクシーに飛び乗ってその場から逃げ帰りその日はそのまま解散しました。
その後、数日が経ちある日友人から電話がありました。
話してみるとあの後母親からこっ酷く怒られた後私が送った写真を母親に見せたらしいのです。
友人の母曰く写真には拝殿から何らかの手が差し伸べていて私と友人を掴もうとしていたと、もう少し遅かったら連れ去られていて帰れなくなっていたとの事、今すぐ写真をお祓いした後に画像を消したほうがいいというのです。
その時は正直半信半疑でしたが、母親の言葉が妙に信憑性があったので怖くなり、言われた通り近くのお寺にスマホを持っていき、お祓いを済ませた後画像データーを消去しました。
そのあとは何もないまま無事過ごしています。
今思うと遊び半分で心霊スポットに行くべきではないと戒められる話でした。