北海道旭川市の神居古潭
2019/09/02
北海道旭川市には、有名な心霊スポットとして神居古潭といわれる場所があります。
札幌から、国道12号線を旭川に向かい、札幌方面からみると一番最初に通過する場所が神居古潭です。
ここは、アイヌの方々の聖地ですが、何かといわくつきの場所でもあります。
明治時代辺りで北海道に鉄道が開通し始めた頃に、神居古潭横に線路がありました。
現在も、駅舎が残されていて、中をのぞくことができます。
ホームの跡地も、当時のまま残されています。
この神居古潭の横には、北海道で一番長い川である石狩川が流れています。
この石狩川に、蒸気機関車が脱線してしまい、石狩川の中に蒸気機関車と客車が落下したことがあるそうです。
多数の死者が出たそうです。
神居古潭付近の石狩川の流れは、とても特徴的で、所々で渦を巻いているのです。
そのため、神居古潭の大きな岩には、丸い穴が開いている者が多いのです。
もちろん、川の中の岩も同様だと思われます。
そのために、この川の中に落ちてしまうと、助けることが難しいそうです。
そのために、脱線事故で亡くなった方が、今も川の岩の穴の中に張り込んでしまっているそうです。
さて、このようないわくつきの場所ですから、自殺の名所でもあります。
これまでも、多くの方がここで自らの命を絶っています。
そのため、神居古潭では、夜になると人影を見た人や、人の声を聴いた人が後を絶ちません。
これからお話するのは、このような場所で私が体験した話です。
今から15年ほど前に、私は専門学校に通う学生でした。
夏休みに入る少し前の7月の終わり頃の土曜日のことです。
友人Aから、「神居古潭に肝試しに行かないか?だれか、女の子も連れて行こうぜ!」と誘いを受けました。
その日の夜10時半頃まで、友人の家でゲームをしたり、心霊物のDVDを見たりしていました。
そして、23時過ぎに友人Aの車で神居古潭に出発したのです。
メンバーは、私と友人A(男)、B(女)、C(女)、D(男)の5人です。
車は、フル乗車でなければ、帰り道に何か良くないものを乗せてくるかもしれないということでしたから、急遽、友人Dに無理を言って来てもらいました。
23時半過ぎになり、神居古潭に到着しました。
雨も降ることなく、蒸し暑い夜でした。
駐車場には、車がなく誰も来ていないようでした。
この神居古潭には白い大きなつり橋があり、夜になるとライトアップされて不気味さが際立っています。
まずは、全員でこのつり橋を渡ることにしました。
全員でつり橋を渡ると、現在は使われていない駅舎がありますが、その横に電話ボックスがありました。
電話ボックスの中には、白いワンピースを着た女性がうつむき加減で電話をしていました。
表情は、こちらからはわかりませんでした。
その横を通り過ぎて、右に行くと使われていない駅のホーム、左側に行くとトンネルがあります。
私たちは迷うことなく、トンネルの方に進みました。
各自、持参した懐中電灯をつけて固まってトンネルを進みました。
トンネルの中は特別何も変わったこともなく、トンネルを出てしまいました。
仕方なく、そのままUターンしてきた道を戻りました。
トンネルを出て元の分岐点に戻ってきたのですが、ギョッとしました。
先ほどまで、電話ボックスの中にいた白いワンピースの女性がいないのです。
そればかりか、電話ボックスが真っ暗なのです。
ふつうは、電話ボックスは夜でも電気がついているものですが、そう見ても真っ暗なのです。
誰が言い出したわけでもないですが、無言のじゃんけんが始まりました。
最悪なことに、私が電話ボックスを見に行くことになりました。
みんなは、その場から動くことなく、じっとしています。
私は、ゆっくりと電話ボックスに近づきました。
電話ボックスの前まで来ましたが、
ガラス張りで、中には誰もいません。
ゆっくりと、電話ボックスの扉を開けて中を覗き込みました。
驚いたことに、電話ボックスですが、そもそも電話が付いていないのです。
私は、何か嫌な予感がして、急ぎ足でみんなのもとに戻りました。
みんなのところに戻り、「電話ボックスの中に電話が付いていなかった!」と言いました。
みんなは、ギョッとした表情で、「マジで!」「なんで?」「どういうこと?」「すっごい、怖いんだけれど!」と次々に話し始めました。
その時、急遽、来てもらったDが「とりあえず、走らずに急いで車に戻ろう!何か悪い予感がする!」と言いました。
みんな無言で、早歩きで友人Aの車まで戻ることにしました。
坂道を降りて、つり橋まで戻ってきました。
前方から、若い男性2人と若い女性2人がつり橋をこちらに向かって歩いてきます。
とても大きな声で、話しながらとても楽しそうです。
私たちも、早歩きでつり橋を渡ります。
ちょうど、つり橋の真ん中付近で彼らとすれ違いました。
「何か、変わったことはありましたか?」と彼らの方から声をかけてきました。
すかさず、友人Dが「何か悪い雰囲気だから、やめた方がいいですよ!」と言ったのですが、若い女性の1人が「なんだよそれ!」とバカにするように言ってきたのです。
彼らはそのまま、つり橋を渡っていきました。
私たちも、それ以上彼らと関わることはしませんでした。
つり橋を7割くらい歩いてきたときに、気が付きました
。私たち5人の足跡のほかに、後ろから足音がします。
しかも、靴を履いている足音ではなく、「ぺちゃっぺちゃっ」という濡れたはだしのような音です。
私の前を歩いていた、友人Bも気が付いたようで、私の方を振り返りました。
私と友人Bは、つり橋がライトアップされていることで、下の岩の部分に私たちの影が映っていることに気が付きました。
そこには、私たち5人のほかに少し離れた後方に女性の影が映っていました。
私と友人Bの様子からその他の3人が下の岩の部分を見ました。
そこからは、みんな声にならない声で、友人Aの車まで全力疾走です。
全員が友人Aの車に乗り込み、放心状態となっていると、黒い人影のようなものが友人Aの車の前を通り過ぎて、先ほどすれ違った若者グループの車の中に「スーッ」と消えたのです。
この場をすぐに離れたい気分でしたが、友人AとDが少し様子を見ようということになりました。
Dは、「もしこのまま車を動かして、さっきの影がこっちに来ても嫌だから少し様子を見ないとだめだ!」と強く言いました。
誰も反論しませんでした。
その後30分ほどして、先ほどの若い男女4名が車に戻ってきました。
私たちが車の中で、おびえた表情をしていたのが面白かったのか、私たちに指をさして笑いながら、彼らは車に乗り込みました。
そして、すぐにエンジンをかけて発進しました。
その時、私たち5人全員が見たのです。
後部座席に座る若い男女2名と、その間に座る髪の長い白い洋服の女性がこちらを「ニヤッ」としながら振り返る様子を……
そのあと、彼らがどうなったかは知る由もありません。
全くの見ず知らずの人たちでしたから。