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怖い体験談

閉じ込められた車いすの男性

2019/09/01

東京へ出張に行った時の話です。

時期は7月上旬で、一週間の滞在予定でビジネスホテルを予約しました。

私は、荷物をできるだけ減らしたい性質なのでいつも出張時はホテル備え付けのコイン式洗濯機を利用します。

ホテルのフロントでアイロンとアイロン台を借りて、カッターシャツにアイロンをあてて翌日の準備をしてから寝ます。

すると、意外とリフレッシュできてスッキリした気分になれます。私の好きな習慣の一つでした。

 

 

滞在して3日目くらいの夜、ホテルに戻っていざ洗濯しようとすると、コイン式洗濯機が埋まっていて利用できませんでした。

私のように出張でホテルを利用する人は、クリーニングを利用する人が多いと思います。

おそらく、外国人の方だったと思うのですが、洗濯が完了しても一向に洗濯物を取りに来なくて、2台ある洗濯機が両方とも空きません。

フロントに相談したのですがどうしようもないとのことで、近隣のコインランドリーを紹介してくれました。

ホテルより利用料金が高いのですが、まあ仕方ありません。

 

コインランドリーにふらふら歩いて行くことにしました。

ビルの隙間からスカイツリーがちらちら見えました。

腕時計をみると、夜中の11時を回っていました。

 

コインランドリーは1ブロック先くらいでした。

コインランドリーに入ろうとした時、ふと、視線なのか気配なのかを感じました。

何の気なしにあたりを見回すと、コインランドリーの横に立っているビルの中に、車いすの男性がこちらにむかって必死でアピールしているような姿が見えました。

配置的には格子状のシャッター→自動ドア→自動ドア→車いすの男性といった配置でした。

非常灯だけが付いていて、車いすの男性は緑色に照らされていました。

 

私に気付くと、その人は嬉しそうに身振り手振りで何かを伝えようとしていました。

声は二枚の自動ドアのせいなのか全く聞こえませんでした。

その時は状況がよくわからなかったのと、あまり関心がなかったので何も考えず、とにかくコインランドリーに入って洗濯をし始めました。

コインランドリーに他のお客さんがいなかったので、のんびりスマホを見ながら洗濯待ちをしていました。

洗濯が完了したのでホテルに戻ろうとした時、先ほどの男性を思い出しビルの中を覗き込みました。

車いすの男性はまだそこにいて、私をみるとものすごく怒っているような身振り手振りをしていました。

指をさしたり、自動ドアをこぶしでドンドンと叩いてみたり、何かを叫んでいるようでした。

 

そこで初めて、もしかしてこのひとは閉じ込められたのではないかと思いました。

 

でも、どうしていいかわかりません。

知らない土地だし、どこに連絡していいかも思いつかなかったので、ホテルのフロントに相談しました。

フロントの方もどうしていいかわからない様子でした。

仕方ないので警察署の110番でない電話番号、市外局番から始まる電話番号をネットで調べて、電話でことの次第を伝えてベットに入りました。

カーテンを開けて、ベットからぼんやり窓の外を見ていると、窓ガラス越しに、車いすの男性がいました。

私に対してものすごく怒っていました。

早くここから出してくれと主張しているように見えましたが、真実はわかりません。

 

翌日の夕方に警察から連絡が入りました。

予想していましたが、そこに車いすの男性なんていなかったそうです。

多分ビルじゃなくて、ガラスの向こう側に閉じ込められたのではないかと思っています。

それから窓の外を見るのがすごく怖いです。

 

 

 

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