必ず心霊体験をするドイツのアパート
2019/09/01
仕事の関係でドイツに住んでいた時の不思議な体験。
会社で用意されたアパートは日本で言うところの団地風の建物で、大家さんとの長年の付き合いもあって会社スタッフの大半がそのアパートに住んでいました。
入居して直ぐに会社の同僚から聞かされたのは、そこが昔、お墓だったという事。
言われてみれば確かに、3棟のアパートをつなぐ長い廊下は薄気味悪く、建物の地下にあるランドリールームへ続く廊下は常に薄暗い上にカビ臭くて、どこからか視線を感じるような雰囲気でした。
住み始めてしばらくは何事もなかったのですが、ある日、壁に寄せたベッドに横たわっていると、壁からタバコの煙を吹いたような白い煙が出てきました。
私はそれまで霊体験など一度もありませんでしたから、気のせいかと思っていたら、再び白い煙が、今度は壁から私の足元にふわっと広がりました。
さすがに怖くなって白い煙を凝視していると、急に両足に重みを感じました。
私は驚きと同時にどうすることも出来ず、ただ横になっていたのですが、その煙は大きくなって私の上半身に向かって広がってきました。
それと同時に足元の重みは、まるで何かが弾むようにポンポンと私の胸に向かって跳ねてきました。
丁度お腹の辺りまで来たところでいよいよ気味悪くなり、両足で宙を蹴るようにバタバタさせると、白い煙はどこかへスーッと消えていき、身体の上の重みもなくなりました。
翌日、この話を会社の同僚にすると、友人たちはもっと恐ろしい体験をしていました。
霊感の強いある男性は霊が見えるらしく、地下のランドリールームに行った時「霊とすれ違いざまに頬をひっかかれた」と傷を見せて話してくれました。
またあるカップルは、寝ていると壁から手が出てきて髪の毛を引っ張られ、壁の中に引きずり込まれそうになったとか、壁から伸びてきた手に目つぶしされたとか……
また別な男性は寝ていて金縛りにあい、目をあけたら、天井に何とも恐ろしい顔の女が浮かんでいたとか、床で男の顔をしたボール状のものが複数、ポンポン跳ねていたとか、そこに住む全員が何かしら体験していて、その内容は、住む人の霊感の強さや部屋によって特徴があることが分かりました。
私はそれ以降、不思議な体験はしませんでしたが、気味が悪いので別なアパートへ引っ越しました。
ドイツのアパートの話とは別に、同時期イギリスへ出張に行った時にも不思議な体験をしました。
ロンドンにある日本食レストランを視察する仕事だったのですが、その日は何軒も試食してお酒もかなり入っていたので、ホテルの部屋に帰った記憶も曖昧でした。
それでも寝る間際に買い置きしてあった飲みさしのミネラルウォーターを飲み、靴はベッドのすぐ脇に揃えて寝た覚えがあるのです。
しかし……翌朝起きてスーツに着替え、靴に足を入れると、両足とも靴の中に水が溜まっていたのです!
とっさに疑ったのが、酔っ払っての小水でした。そっとニオイを確かめてみましたが無臭でした。
しかも靴の置いてあった周りの床は全く濡れていません。
しばらく悩みましたが、上司との待ち合わせに遅刻しそうになったので、濡れてふやけた革靴を履いてロンドンの街を歩きました。
ホラー映画は国によって恐怖の表現方法が違いますが、なるほど実際の体験も色々違いがあるものなんだと実感しました。