金縛りと優しい女性の霊
2019/09/01
これは私が20代前半の頃に体験した話です。
当時の私は何故かよく寝ている時に金縛りにあっていました。
学生から社会人になり仕事や人間関係などで一日中神経を使っていたので疲れのせいもあったのかもしれませんが、半分夢だったのかと思うときもあれば鮮明に覚えていることもありました。
一度はベッドの部分だけカーテンで仕切って単独のスペースを作ったのですが、夜中にそのカーテンの向こう側から何匹かの動物の雄叫びのような声と部屋の中を駆け回るような足音がして、そのときは怖くてカーテンを開けることができなかったのですが、翌朝みると部屋のなかが散らかっていました。
そういう体験が続いたある日、ベッドで寝ていると直感的に“何か”の気配を感じました。
何度も金縛りにあっていたので、もはやそういう感覚が染み付いていました。
私は金縛りにあうとき大体仰向けで寝ていたのでなるべく横向きに寝るようにしていたのですが、その日は横向きで寝ていたのにも関わらずその“何か”が足元から近づいて来るのを感じました。
四つん這いで徐々に私の腰そして背中のほうに近づいてくると、掛け布団がその重さで沈んでいきました。
押しのけて飛び起きようと思ってもその重さで全く身動きができません。
四つん這いということは何かの動物なのかと思いましたが、ふと、私以外の人間らしき呼吸の音が聞こえ、「これは人だ」とわかりました。
その息遣いが段々私の耳元まで近づき、頬に長い髪の毛のようなものがはらりと垂れてきました。
季節は初夏だったのでさっきまで少し暑いくらいだったのに、そのときは部屋中が凍りついているのかと思うくらいの寒さに包まれていました。
そして更に、私の左手に氷のように冷たい何かが触れました。
怖くて目を開けたくなかったのですが、薄目で左手をみると全く血の気のない青白い女性のてのようなものが重なっていました。
もう恐怖しかありません。
これは夢ではなく現実に起こっていることなんだと確信しました。
そしてきっと悪いことが起きるのだと思うと、体がガクガク震えました。
私の背後にいるのは一体何なんだろう、早くこの状況から抜け出したいと心の中で叫んだ瞬間、耳元で「ダイジョウブダカラ」というか細い女性の声が。
そう言ったあと、スッとその女性は私から離れ消えて行きました。
恐怖の中、薄目でその姿を見ると、白い着物を着た腰まである真っ黒な長い髪の毛の女性でした。
金縛りに合っているあいだはとても怖かったのですが、去っていったあと何故か心が少し暖かくなりました。
自分でもどうしてそう思ったのか今でもわかりませんが、その一件以来私が金縛りにあうことはありませんでした。
もしかしたらその女性が私のことを助けてくれたのかなとも思います。
数年後、その女性のことも忘れかけていたときに偶然にも霊的な能力もある占い師にみてもらうことになったのですが、そのときに「あなたは数人の守護霊に守られてますよ。以前にそのなかの女性の霊とあってるはずです」と言われハッとしました。
霊というのは怖いものだけではないのだと教えられたような気がします。