白い服の小さな女の子
家の近くに大きな病院があり、その横にドラッグストアがあります。
そしてそのドラッグストアとその駐車場の土地はもともと病院の一部で、しかも末期の治療できない患者さんの病棟だったそうです。
近所ではその駐車場あたりで幽霊を目撃した、とのうわさがありました。
そこで当時大学生だった僕は友達のA,Bと一緒に様子を見に行くことにしました。
Aが運転する車で、ドラッグストア付近のコンビニまで行き、そこに車を停めて三人で歩いて現場まで行きました。
病院は小高い山の途中になり、町の病院という感じで風景に溶け込んでいます。
歴史が長い病院だと不幸な患者が亡くなった件数も多くなるのかな、などと考えながら歩いていました。
病院は今も運営されているのですが、末期患者の受け入れはやめているようです。
病院の隣のドラッグストアはたしかその時間には閉店しており、僕らが近づくと誰一人いないようでした。
チェーン店のドラッグストアで日中はよくお客さんが入っているのを見ますが、今は静寂に包まれていました。
あたりに民家もあるのですが、もう寝静まっているようです。
駐車場は平面駐車場でおおよそ2,30台くらい収容できるような広さです。
ポールとチェーンで閉鎖されています。
あたりは静まり返り、少し不気味な雰囲気です。
こっそりチェーンをくぐり、僕とAはドラッグストアをぐるっと一回りし、Bだけ駐車場のあたりに留まることになりました。
僕とAがドラッグストアのポスターや自販機を見ながらゆっくりと様子を見て回ってました。
その間Bの様子は視界に入りません。
そうするとBが「うおっ」と驚いた声をあげました。
僕とAが何事かとBの元に駆け寄るとBが「今駐車場の端っこに小さい女の子が見えた」というのです……
駐車場は長方形なのですが、ちょうどBのいう場所は僕たちのいる場所と対角線の遠い場所でした。
Bが言うには幼稚園くらいの白っぽい服をきた女の子が見えたそうです。
生きているか死んでいるかはよくわからないとのこと。
たしかにこのあたりには子連れの世帯も多く住んでおり生きている女の子が現れた可能性もあります。
しかしこんな真夜中にいるのは不自然ですし、なによりその発見場所から女の子が姿を消すには植え込みと、僕たちの腰くらいの高さのフェンスを乗り越えなければならないのです。
小さな女の子に一瞬でそんな芸当は無理だと思います。
ですので、やはりあれは幽霊だったのだと思います。
僕たちは何とも言えない不気味な感じがして、急いでコンビニに移動し車に乗り込み家路につきました。
その後はそのあたりになんとなく近づかないようにしています。
あの女の子はなんだったのか、気になります。
あのあたりの病棟で若くして亡くなった子供なのかもしれません。
幽霊のうわさは具体的に性別や、年齢などははっきりしないものだったので、うわさで言われている幽霊がその子なのかどうかははっきりしないのです。
ただ、もしそうなら僕たちに決して良い感情は抱いていないのだろうな、と思います。
あまり面白半分で肝試しはしないようにしたいです。