不思議な体験談 (耳元で歌う女性 他)
2019/09/01
耳元で歌う女性
私は前々から不思議な出来事に遭いやすいのですが、その中で何度思い返しても謎が解決出来ないことがあります。
それは大人になってから受けたピアノのレッスンでの出来事でした。
やっと子供の頃からの念願叶ってピアノを習えるようになった嬉しさからか、仕事であろうが私生活だろうが気がつけばいつもピアノのことばかり考えていました。
すると、ある日同居の母が家の二階からキーボードの鍵盤を叩く音が聞こえてくると訴えるのです。
カタカタという音だけが聞こえて音色は全く聞こえないようなのですが、明らかに鍵盤を叩いている音だとのこと。
その音が鳴っている時、私は仕事で家には居ませんでした。
けれども私は私で職場内で不思議な体験をしていました。
母が体験した日とはまた別の日だったのですが、私がデスクに着席すると、突然若い女性がまるで歌っているかのような高い声が聞こえてきました。
きちんと音色になっていて、すぐ傍でハミングでもしているようでした。
その時室内には私一人、どう考えても耳元でそんな歌が聞こえる訳がありません。
十数秒聞こえた後、ぱったりとその音は消えました。
更にピアノ教室でも不思議なことが起こりました。
レッスン中、今日は苦手な曲を弾かなければならないと少し緊張していたら、またしても突然音階を歌う女性の声が聞こえてきたのです。
傍にいる先生はじっと私の演奏を聴き入っているから終始無言です。
苦手な箇所にさしかかった途端、耳元でラドミなどと歌ってくれた、その不思議な女性のリードのおかげで最後まで弾き切ることが出来ました。この時、私には誰かがついてきていると確信しました。
一般に憑依というと怖い印象ですが、どうやら私の傍で歌う女性はむしろ私の補助をしてくれて、悪いことをする為に近づいてきたのでは無さそうでした。
この頃、私は時間さえあれば延々とピアノを弾いていて、一日に四時間以上部屋に閉じこもって練習していたこともあります。
何故それほどまでに夢中になったのか今となってはわからないのですが、まさしく取り憑かれていたと言うのでしょうか。
現在は仕事が忙しくなりピアノから遠ざかって、あの不思議な女性の声も聞こえなくなりました。
やむを得ずピアノ教室を退会すると決めた頃からいっきに熱が冷めたかのようにピアノに興味を持てなくなり、同時に女性の存在も感じられなくなりました。
きっと女性は生前ピアノか歌かどちらかが上手で、指導霊のように導いてくれていたのかなあと思います。
今思い出してみると怖い話なのかもしれませんが、感謝も芽生えるという不思議な体験でした。
(30代後半女性)
受け継がれた美的センス
学生の頃私は美術の教科書でルネ・マグリットの絵に出会い、非現実的な世界観でありながら眺めていると不思議と現実のように思えてくる立体的でポップな作品たちに強烈に引きこまれるものを感じました。
数年後家族で美術館に行く機会があり、帰り際売店に立ち寄り記念にポストカードを買おうと選んでいました。
そこには世界中の画家の絵をポストカードにしたものが販売されていました。
私は何故か、直感で迷わずマグリットのコーナーから選ぶことにしました。
マグリットのポストカードだけでも相当な種類がありましたが、そのなかで「アルンハイムの領地」という絵を一目見た瞬間私はとても気に入り「これがいい。」と手に取りました。
その時母の顔が一瞬青ざめ「嘘でしょう…?鳥肌が立つんだけど。」と言われました。
父もかなり動揺しています。
そして16年前のエピソードについて話してくれました。
その当時私の父は外資系企業に勤めニューヨークに研修で滞在していました。
その時にルネ・マグリットの作品に出会い魅了され、その中でも一枚の絵をとても気に入り当時40万円でしたがどうしても買いたいと言い出しました。
それは母によるとマグリット本人が限定で刷ったものだったそうです。
それが何と私が手にしたポストカードと同じ「アルンハイムの領地」だったのです!
当時は子供たちも小さくお金もなかったので母が大反対したので購入には至らなかったのですが、偶然過ぎてゾクッとしたと言われました。
16年前は私は2歳でほとんど記憶がない時代に起こった出来事でした。
親子というのは不思議なものです。
それから月日が経ち私はアラサーになり結婚しましたが、今でもその時買ったポストカードを大切にしています。
(30代前半女性)